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「流れに乗って辿り着いた円熟のサウンド」
リトルテンポ 土生 “TICO” 剛 インタビュー

(インタビュー;福井浩(BALANCE/CULTURAL VIBES)

前作「山と海」から3年。
この夏、新作アルバム「太陽と花嫁」とともに各地で熱いライブを繰り広げ、9月16日にはバンドによるセルフプロデュースイベント「ワイワイ祭り」を控えた土生 “TICO” 剛氏に話を聞いた。
新しいアルバムの話を中心に現在のリトテンサウンドや世の中のことなど、興味深い話題が尽きないインタビューとなった。

Balance(以下B) 前作「山と海」から3年ぶりとのことですが、その前のアルバムとのインターバルも3年でしたね。

TICO氏(以下T) そうだね、3年刻みが多いね。熟成するにはそのくらいかかるよね。ちょうどいいんじゃないかな。

B 今回のアルバムでは、先にライブで披露していた曲を打ち込みのトラックでやったりしていますね。

T その辺はほとんど考えてやってないんだよね。‘流れ’ でやってる部分が大きいね。

B なるほどー。こちらはなんかいろいろ仕掛けがあるんじゃないかと思って聞いてしまうんですけど、単純に ‘流れ’ なんですね。

T そう、‘流れ’。いろいろ戦略立ててやっても、なかなかうまくいかないからね。そこは ‘流れ’ でやっていかないと。
打ち込みに関してもいろいろ言われるけど、そこもあんまりこだわっていないんだよね。
この曲は打ち込みも合うんじゃないかな、くらいの気持ちでやってる。
なんか飽きっぽいっていうか、今までずっと人力基本でやってきて、その録音に飽きたっていうのもあるかもしれない。
あとは近所に外池さん(外池満広。言わずと知れたDRY & HEAVYのキーボーディスト。森俊也とのMIGHTY TWO でも活躍中)のスタジオがあるっていうのも大きい。

B そういった環境は大事ですね。そんな良い場所が近所にあるというのは大きいですね。では打ち込みのプログラミングを外池さんがやったりもしているんですか?

T 外池さんにやってもらったり、大ちゃん(大石幸司。リトルテンポドラムス担当)や健太(田鹿健太。リトルテンポパーカッション担当)もやったり。
誰がメインでやってるっていうことは無くて、そこにいる人がやるっていう感じ。

B 音響的な聞き所もたくさんある今回のアルバムなんですが、その辺はいかがですか。

T いろいろあるね。一発録りもあるし。

B ちょっと曲を聴きながら話しましょうか。(CDをかける)
アルバムタイトルでもある一曲目「太陽の花嫁」ですが、最初に聴いた人はいきなりリズムボックスが出てきてビックリするでしょうね。

T そうかもね。実は、この曲のスティールパンはある音鳴りの良い場所で録ったんだよね。

B ほおー、確か打ち込みトラックに乗っかったスティールパンの響きがホール鳴りで気持ちいいですね。それにしても良いタイトルが付きましたね。

T タイトルも最近付いたんだよね。マスタリングでロンドンのケンジャー(Kenji Jammer=鈴木賢司。
ロンドン在住の日本人ギタリスト。シンプリーレッドなどのメンバーとしても知られる。)のところに寄っていた時、ケンジャー話しながら浮かんで(笑)。
「ジューンブライド!」、「おおっ、ケンジャー来た来た!」とか言って。「6月の花嫁!」、、
「じゃあ、太陽の花嫁!」とか言って(笑)。

B さすがネーミングセンスですね。

B ここ最近のリトテンの演奏や、今回のアルバム全体でも感じたことなんですが、いい意味でイージーリスニング的というか、非常に聴きやすいという印象を受けました。なるほど、聴きやすさっていうのが大事だなって。前のガッツリいく!っていう感じも好きなんですが、そこら辺の変化に関しては?

T 前はやったれー!みたいなところがあったよね。

B あー、抜けてきてるんですね。
たぶん、メンバーそれぞれが円熟味を増してきて、演奏にもそれが出てきているんでしょうね。
ライブでもその円熟味がユルさの極地とでもいうような良い感じで出ている瞬間がありますよね。

B 今回のライブではアルバムからの曲が中心になるんでしょうか。

T そうだね。大野さん(大野由美子。内外にカルト的な人気を持つBuffalo Daughterのメンバー。TICO氏、同じくリトテン田村玄一とのSunshine Love Steel Orchestraでも活躍中。)とかicchie(元デタミネーションズ、Bush Of Ghost。日本が誇るトローンボーニスト。)とかテチャン(西内徹。サックス・フルート。Reggae Disco Rockersをはじめ、レゲエ界で知らない人はいない超重要プレーヤー。)なんかも呼んであるし。

B おお、アルバム収録時のゲストプレーヤーが集結ですね!
この2曲目の「雨の日には」には大野さんが参加してますね。

T パンの音色って違う音域が入ってくるとすごい気持ちよいヴァイブスが出てくるんだよね。倍音的なね。
そして、それ以上に大野さんの女性的なマザーヴァイブスもあって、気持ち良さ倍増みたいな。

B なるほどねー。そういう優しい感じが音に出ていますよね。

T ね、今、優しい感じって必要だよね。

B やっぱり女性性って今の時代に大事ですよね。
最近のリトテンのTシャツもそうだけど、優しさを表す女性性とか幼児性などの無垢なものをもう少し重要視した社会にしていかないと駄目ですよね。
もう男性的な強欲的で略奪の歴史に終わりを告げる時が来ていますよね。

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T そうだね。一番幸せな方向で行きたいよね。
なんかもう、かましたれーっ、みたいなものはいらないよね。そういう時代は終わったよね。
気持ち良さを共有できるような時代にしないとね。
早くそっちの方にシフトしたいね。

B そういう時代にこのリトテンの新しいサウンドは雰囲気ピッタリですね!
録音してた時は震災のようなことが起きるとはわかっていなかったわけじゃないですか。
太陽というネーミングも含め、3.11を体験したある意味ネガティブな状況にある我々が求めなくてはならない明るさを偶然にも表してくれたのではないかという気がしています。

T うまくまとめたねー。でもホントその通りだよね。

B 18年間のキャリアを積み重ねてきて、円熟味を増したバンドが、こんなにも肩の力が抜けて丸みのある優しい音楽に行き着いたというのがなんか嬉しいですね。
凄みを増していく、というのではなくて、こういった方向性に辿り着いたっていうところが、ある意味すごいなと。

T もうこのアルバムではジャンルを超えたと思ってるからね。
あと、メンバーそれぞれが違った音楽が好きというのも大きいと思うよ。
ルーツレゲエだけやるぞっていうわけでもなく、ラヴァーズだけっていうわけでもない、もちろんそれらがベースにはあるんだけど、そこにハワイアンやラテン、ソウルなんかのメンバーそれぞれの好きな音楽が混ざってくる。それが実はすごく大きい。

B なるほど、それがリトテンフレイヴァーなんですね。
そこにリトテンの長い人気の秘密があるのかもかもしれませんね。
いつも感心してるんですが、ライブの客層を見てもかなり幅広いですよね、ごっついレゲエ好きからギャルまで、みたいな感じで。そこにもバンドの歴史が凝縮してますね。

T そうだね、割とギャルが多いなってステージでも思うんだよね。
だけどなかなか合コンには辿り着かない(笑)。
まあ、いろいろあって大変なことも多いんだけど、なんだかんだ言っても、やっぱりバンドは面白いね。

「太陽の花嫁」は誰に聴いてもらっても、これいいね~、と普通に言われるアルバムだ。
そこには底抜けの明るさと優しさ、前向きな力強さ、そして誰もが持つ甘酸っぱい青春への憧憬が同居している。
CDプレイヤーの中に入りっぱなしでも変える気持ちが起きない、稀有な完成度と満足感を満たしてくれるアルバムだと言える。もちろんダブの醍醐味や手の込んだサウンド作りなど、コアなファンにも楽しみどころは満載だ。
未聴の人はぜひ入手して聴いてみてほしい。

また、9月16日リキッドルームで行われる「ワイワイ祭り」にもぜひ参加して、円熟の境地にあるリトテンサウンドを生で体感することをオススメしたい!
http://www.liquidroom.net/schedule/20110916/6628/

ワイワイ祭りスペシャル